1、地域づくりはヨイショから

【解題】この頃、地域づくりの原点は、「メシとオカズ」だといい続けていた。そのキッカケは、兵庫県庁から県北部(但馬)の、工業団地開発事業の企画をやらせていただいたことである。「但馬の国」は私の故郷であり、高校を出て20歳まで暮らしたところである。調査をし、計画を進めながら、但馬の土地柄について勉強しなおしたいと思った。

その結果書いたのが「但馬のメシとオカズ」という文章だった(昭和50年=1975年)。そこで言いたかったことは、今後の地域づくりは、ハードな道路や団地開発だけでは成功しない、文化についても企画をした地域づくりが必要だ、という考え方だった。つまり「メシ」だけでなく「オカズ」も大切な時代になっている、と考え始めていた。この小冊子は評判がよく、増し刷りをしていた。このコンセプトは、事務所の中でもよく議論になっていた。

ある朝、私が大阪事務所に出勤したら、「糸乘さん、あのメシとオカズがマンガになっていますよ」と、F君が声をかけてきた。それで見せてくれたのが「週刊アクション」1984.10.10という漫画雑誌だった。そこに「オカズがないと戦ができん」という4コマ漫画が出ていた。それはこの雑文の8ページ目ぐらいに転載している。

この、いしいひさいちの4コマ漫画だけでも見ていただきたい。「メシとオカズ」というカテゴリーについて、私以上にうまくとらえている。