1、地域づくりはヨイショから

【解題】この頃、地域づくりの原点は、「メシとオカズ」だといい続けていた。そのキッカケは、兵庫県庁から県北部(但馬)の、工業団地開発事業の企画をやらせていただいたことである。「但馬の国」は私の故郷であり、高校を出て20歳まで暮らしたところである。調査をし、計画を進めながら、但馬の土地柄について勉強しなおしたいと思った。

その結果書いたのが「但馬のメシとオカズ」という文章だった(昭和50年=1975年)。そこで言いたかったことは、今後の地域づくりは、ハードな道路や団地開発だけでは成功しない、文化についても企画をした地域づくりが必要だ、という考え方だった。つまり「メシ」だけでなく「オカズ」も大切な時代になっている、と考え始めていた。この小冊子は評判がよく、増し刷りをしていた。このコンセプトは、事務所の中でもよく議論になっていた。

ある朝、私が大阪事務所に出勤したら、「糸乘さん、あのメシとオカズがマンガになっていますよ」と、F君が声をかけてきた。それで見せてくれたのが「週刊アクション」1984.10.10という漫画雑誌だった。そこに「オカズがないと戦ができん」という4コマ漫画が出ていた。それはこの雑文の8ページ目ぐらいに転載している。

この、いしいひさいちの4コマ漫画だけでも見ていただきたい。「メシとオカズ」というカテゴリーについて、私以上にうまくとらえている。 続きを読む «1、地域づくりはヨイショから»

2、地域百科事典づくり企画071028

<活動と方法>

①地域の住民が集まって、特色あるソフト事業として、地域の風土を反映する“知的蓄積”をつくる。

②地域の知的活動のコーディネーターとなる人材を育成し、共に百科事典づくりを進めることによって、「文化的たまり場」の成立を期す。 続きを読む «2、地域百科事典づくり企画071028»

3、少子化問題の解決は“おばあさん仮説”で

少子化問題の解決は“おばあさん仮説”で ――奄美大島は、安心して暮らせる子育ての島・長生きの島── 070313

奄美大島にいってきた。合計特殊出生率が、日本一高いといわれている地域の実態を聞くためである。日本の2000程ある市町村の中で、出生率トップ20の中に奄美大島の市町村が7入っている。それだけではない。人口当たり100歳以上の長寿者の数が全国平均の4倍になっている。東京は最も所得が多いにもかかわらず、出生率は最も低い。奄美大島や沖縄は、所得が低いのに出生率は高い。この問題のポイントは所得ではないのだろう。では何なのか、考えてみよう。

<子供は生まれるもの? 授かるもの? 作るもの?>               最近は結婚式に出るのが嫌いである。理由は、スピーチの中で、当人はウケをねらって格好がいいと思っているのかも知れないが、やたらに「子供を作れ、何人作れ」などと、品のないことを言う人が出てくることがあるからである。先頃、大臣が女性を「産む機械」といったとかが問題になっているが、「つくる」という言葉は同じ立場に立っている。

地域によって違うのかも知れないが、私の生まれたところでは「つくる」という言葉を聞いたことはなかった。よその家のことをいうときは「〇〇さんの家で生まれたようだ」といい、自分を主語にするときは「できた」と言っていた。つまり自然現象だという態度であった。 続きを読む «3、少子化問題の解決は“おばあさん仮説”で»