5 観光案内標識消滅の法則

「観光案内標識消滅の法則」というものを発見した。観光地に出かけると、目的地の近くまでは親切な案内標識があり、この分ならばすぐに辿り着けると思ったとたんに、道に迷ってしまった経験をお持ちの方がおられると思う。これは、「観光案内標識消滅の法則」にはまった所為である。この法則の成立要因は、「こんな近くまで来たのだから、いくらボンクラでも分かるだろう」という感覚が前提になっているからである。近所まで来て、右に曲がると目的地に着けるのに、まっすぐクルマで通り過ぎていたりすると、「なぜそこで曲がらなかったのか、曲がって二軒目なんですよ」と言われる。もちろん「こんな近くまで来たら分かるだろう」と判断しているので標識は出ていない。

 一方の、来訪者の側は「地図を見たりして訪れるのだから、おおよその近くまでは分かる。近くに来たら地図は頼りにならないから、→などのガイドが欲しい」と思っている。

 よく、間近を通りながら二度三度と通り過ぎていて、「すぐ側まで来ながら何で分からんのか」と叱られたりもする。

                         国道の標識は親切で、「〇〇へ〇〇キロ」などと書かれているが、〇〇キロぐらい移動したところで二カ所ぐらい、1キロぐらいに近づいたとき、500メートル、100メ-トルのところなどと、エベレスト登山の極地法のようにガイド標識をつけておいて欲しい。

白水ダム

 

 先日も、大分県荻町の「白水ダム」と「円形分水」を見に行って、この法則に引っかかった。「白水ダム」の場合はあと1キロぐらいのところまで、スムーズにたどり着いたが最後のところが最近の工事によって不通になっていて、迂回路の地図があり、それに従ってクルマで動いたのだが、なにぶん距離とか目印が書いてない。案内人的立場にいた私はずいぶん面目を失った。

 駐車場から600メートルの坂道を歩いてたどり着いてみると、クルマですぐ近くまで来ている人が沢山いる。ついつい力が抜けかかったが、それを救ってくれたのが「白水ダム」だった。

 総勢七人、その美しさに感動、案内の説明を読んで感動、というわけで感動のお裾分けをしたいので、案内の写真を載せることにする。昭和九年から四年半をかけて造られた、「農耕への熱い思いが実らせた」重要文化財の説明を、ご覧ください。

  看板は左右いっぱい